- 作者: Roy Osherove,島田浩二
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2017/05/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2018年の Droidkaigi の中でこの本が紹介されていたので、会社の経費でポチってもらった。回し読みをしてようやく順番が回ってきた。
感想
チームが今ある状態を「サバイバルフェーズ」「学習フェーズ」「自己組織化フェーズ」に分割し、リーダーはチームを自己組織化フェーズへと導くことが仕事であるとしているのが著者の主張だと感じた。これに関して自分はたしかにそのとおりだと感じた。思えば、自分は小さな組織でリーダー的なポジションになることが多かった。例えば高校の部活動、例えば大学のサークル、例えばバイトetc...
どんなチームであっても思うのは、メンバーに勝手にやってほしいと思うことだった。今にして思えば、それは自己組織化フェーズへと進化したチームのことだったのだろう。そしてこれは、大体のリーダーが考えていることだと思う。よく言う「経営者的思考を身に着けてください」と経営者が言うアレだと思う。
チームのメンバーはチームリーダーが自己組織化されたチームを目指していても、メンバー自体はそこまでの給料をもらっていない事を考えるとモチベーションは普通の状態では持ち合わせない。チームリーダーの仕事で難しい部分は、自己組織化されたチームの状態がどういうもので、なぜそれを目指すのかをチームメンバーで共有するところかもしれないと感じた。
自分たちのチームはどんなチームだろうか
この本を読んで、自分たちのチームがどんなチームなのかを振り返ってみたいと思う。実は、今のチーム(コベリン)は会社全体をチームとして見たときにまだサバイバルフェーズのままなのかなと感じている。と言うのも、案件に関するノウハウの共有もできていない部分も多く(バス因子)、スケジュールがカツカツと言うわけではないが、組織で体系的に学習ができているわけでもない。
例えば、デザインであれば今のところ社長がほぼ1人でこなしている。これはバス因子だろう。こういったノウハウやスキルを他のメンバーがみんな学習し始めることで初めて学習フェーズへの移行ができていると言えるのではないだろうか。バス因子のリストアップをするだけでも良いかもしれない。学習フェーズでは生産性が落ちるだろうが、それは仕方のないことなんだろう。
小手先のタスクリストという意味であれば、あとはコミットメント言語をしっかりと使っていくことだろうか。本を読んで感心したのは「バグを明日までに取り除きます」という発言は、約束できる言葉では無いと批判していたこと。ソフトウェアのエンジニアならだいたい今日考えられると思うけれど、バグは大体の場合自分が思っているよりも広範囲に影響を与える物だったり、修正自体は簡単だけれど調査がめちゃくちゃ大変なものが多い。つまり、こう言った場合に利用するコミットメント言語は「少なくとも、1日に5時間はバグの調査を行います。そのために、他のタスクを止められるように調整します」と言うことだ。確かに、そのとおりだなと思った。リーダーがサポートする部分は、コミットメント言語を得ること、そしてそれを実現するためにサポートすることなのだろう。
こうやってこの本を読んで自分のチームを見直すと色々と不十分な部分が目立つ。もちろん、ある側面ではできている部分もあるだろうが、ある側面ではできていない部分もあるのだろう。学習フェーズとサバイバルフェーズの中間くらいにはいるかもしれないが、自己組織化フェーズには至っていないと言ったところだろうか。