@numa08 猫耳帽子の女の子

明日目が覚めたら俺達の業界が夢のような世界になっているとイイナ。

なんかめっちゃ技術が進歩してる!「俺達は異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する3」感想 #異世界物理

@藍月要 先生の最新刊「俺達は異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する」を読み終えたので感想です。

新刊、おめでとうございます。

大精霊祭での活躍が注目された幹人たちは、国王から魔道具の祖ジーリンの情報と引き替えに自動生成ダンジョンの攻略を依頼される。難攻不落のその魔窟にも、彼らは持ち前の科学的思考でアプローチしていき――。

前作までの感想はこちら。

numa08.hateblo.jp

numa08.hateblo.jp

第2巻までは一応ネタバレを気にした文章にしていたけど、今回はもういいかなって感じで。

照兄、お前がトップなのか

第3巻の表紙を見たたとき、真っ先に気が付きました。主人公である幹人やヒロインである魅依よりもトップに来ているのが、ギルドオオヤマコウセンのリーダーにして一番の変人あるいはバカ、もしかしたら変態、コミュ障ゼロの最年長で兄貴分の中久喜照治くんこと照兄です。そう、3巻は実は照兄回だったのです(ナ、ナンダッテー

今回、彼の二面性のような物が明らかになりました。過去の出来事をきっかけに雨ヶ谷兄妹や彼らの家族とほぼ家族同然の絆で繋がり、彼らのためなら命を投げ出すことを選択することができる人情味のある部分。そして、娘との再開を果たした現王に対して「この無駄な時間でやるべきことが沢山ある」という思いを汲み取り嘘をつかせるアドバイスをする異常なまでの効率主義者の部分。

今までの作品では現実主義的、効率主義的であるが故に人情的に振る舞おうとしても不器用に写ってしまう、そしてそれを自覚したキャラクターだったと思ったのですがどうやら彼は効率主義の方にステータスを全ブリしてしまっていたようにも見えます。

更に、今回彼がアドバイスをした現王、つまり今作のゲストキャラクターのジルベルタ・カラブレーゼの母親、ルキシロナ・ウェルエオンは彼のアドバイスを受けて「無駄な時間」を終わらせるためにかつて捨てた娘に対して「愛している」と言います。

良いですね、この感じ。親子の愛と言って思い出すのはやはり第1巻のザザと彼女の父との関係性です。

第1巻では幹人の賭けとも言える提案によって実は彼女の父は財産を捨ててまで彼女に愛を伝えたかったことが明かされました。自分なんて見ていない、ザザの思いは単なる思い込みで実は誰よりも家族として彼女を愛していたのは父であったことが明かされました。

それが一点、ジルとルキシロナの関係は本当の愛ではなく偽りの言葉で作られた関係であることが明かされます。現王は王としての責務を果たすために彼女を捨てた。それが自分の未来やあるいは国の未来の為にちょうど良かったからなのでしょう。大人になったジルは軍務の経験を経て施設を営みつつ冒険者をするそんなに拗れていないキャラクターに育ったようです。照治をして「雨ヶ谷兄妹のようだ」と言わせる善人の塊のような彼女に対しては、王となってその責務を果たす母の重みも理解している、それ故に「それでもお前をまだ愛している」と言われればそれで納得してしまう。言ってみれば、チョロイ。だけど当人としては十分に幸せな関係を築くことができたと言える。

良いのかなー、それで良いのかなー。照治も王もいい感じになんやかんやあって人情派になってくれたら面白いなぁとかちょっと思いました。

雨ヶ谷、お前はどうなんだ

3巻ではようやく幹人と魅依ちゃん先輩の関係が進展します。いやでもトップはなんやかんやで照兄なのでちょっとだけです。

2巻のラストで突然のザザからのプロポーズ、そしてそれへのレスポンス。更に3巻ではやたらと幹人とザザの距離感が近いようなそんなアレ。どうなるんだこれ?と思ったら、ああ魅依ちゃん先輩圧勝でしたかと。幹人君も君は君で案外頑固なんだなぁと。個人的には健気担当のザザ推しでしたけれど。3巻では恋愛関連の進展もあって楽しめます。

2巻で「カレーに漸近する何か」を完成させたらしい(このカレーに漸近する何かは今後出てこないんですか?)料理担当の塚崎さんはまさかの照兄への片思い。2巻までにそんな素振り無かったような。とうか、今回ようやく名前がつきましたねおめでとう。犯人顔のスキンヘッドのお兄さんにも名前をつけてあげてほしいです。

塚崎さんも塚崎さんでかなり奥手なようなのであんまり行動とかは無かったようですが、最後はちゃんと照兄を正気に戻したり仕事をしていました。あと空気も読める。今までのヒロインの中では一番有能なのでは?一番いい奥さんになりそうです。

また、2巻でモニカとちゃんと距離を取った男イヌちゃんも、序盤でちゃんと落ち込んで復活してました。うんうん、若い、いいなぁ。

恋愛と言えば最年少でお兄ちゃんラブの咲ちゃんもなんかあったら面白そうですね。今後に期待。

ロボコペとかシキとか

2巻で作った多脚型の精霊、シキ。実はこれのデザインは現実世界でロボコペのために作っていたオオヤマスパイダーがデザインのベースにあったことが明かされました。そう言えば2巻の中盤、シキ作成中のシーンでスキンヘッドのお兄さんの田川と照兄が足を6本にするのか8本にするのかで言い争いをしていたシーンを思い出しました。実は彼らの口喧嘩の背景にはロボコペ用のデザインを踏襲したい思いがあったのかもしれないですね?

DPS とか、絶対ヤバイでしょ

毎回、何かしらのアイテムを発明するオオヤマコウセンのメンバー。今回は第1巻から登場している魔導杖が更にパワーアップし、第2巻で登場したカートリッジシステムを搭載し小型化したものが正式採用されたようです。第3巻の舞台が2巻の大星霊祭の1週間後で、2巻のスタートが60日以上。そう考えるとそろそろ半年くらいが経過するタイミングかな?半年のうちに実践で利用できる武器を作って更に自律できる精霊も作り量産までしている。オオヤマコウセン恐るべし。2巻のラストで大精霊祭での活躍に対して金銭での報酬もあったようだし、今回の依頼に関しては王がスポンサーのような物なのだからまあ、経済力は相当な様子。となると彼らの技術力がすごいってことですね。

さらに今回、自動生成ダンジョンを攻略するためDPSなる位置座標を即位するシステムも開発、運用しちゃってます。光速よりも遅く、さらに波長やなんかを割りと自由にいじれるっぽい「魔力波」を利用した測位システムを使ってマッピング、さらにシキの自動操縦を行うことで自動生成ダンジョンの攻略を行おうとする。ゲームだとルールがそれを拒むでしょうが、もしもそれがリアルでルール無用ならダンジョン破壊の次に思いつく方法かもしれません。ダンジョン破壊もしっかりと「現実味がない」ということで非採用にしているのも偉い。

ちょっと気になったのは魔力波の速度って結局どうやって求めたんでしょうね?一応「光よりは遅そう」という話を作中ではしていましたが計測の描画は無かったような。1巻の時点で魔力波を観測する仕組みを作ろうとしていたしなんとかしたんでしょうが。結局、魔力波も電磁波のように目に見えないけれど存在するっぽいということはわかっていてもその実態についてはまだ作中で観測はされていないように思えます。その実態は何かのか、魔力波と言っているけれど「波」の特性を持った物なのか物質なのか、あるいはその両方なのか。今後に期待したいですね。

DPSと自動操縦のシキによるマッピングは今回の描画では非常に精度が高く、モンスターがいないあるいは弱いなどの条件付きであればかなり実用度が高いように思えました。あるいはDPSだけでも。第1巻の魔導杖や第2巻のシキなど、彼らの世界から持ち込んだ概念によって構成された物は確かに画期的だったけれど異世界では何か別のものに置き換え可能だった。しかし、今回のDPSに関してはおそらく異世界でも全く新しい発明品で変わるもののないユニークな物なように思えます。次巻以降、彼らがこれで経済的無双をしちゃうんでしょうか。それはそれで見てみたいw

結局、王の目的は?そしてアッドクライムとは

今回潜ったダンジョンは、じつは彼らが求めるジーリン・アッドクライムと非常に密接に関わる、というか彼女の居場所が記されたアイテムの眠るダンジョンでした。アッドクライムの情報を求めるオオヤマコウセンのメンバーを潜らせた。しかもダンジョンの攻略は王の意志で成功報酬は成功者の求めるものを可能な限り叶えるという。もう、これあれですね、アッドクライムさん、めっちゃ要人ですね、王様にとって。今回の描画から王が私利私欲で動くタイプでは無いと思われます。つまり、アッドクライムの居場所は国益にかなり影響をするということ。

次巻への期待も込めて、アッドクライムさんが何者なのか、なぜ王は彼女の居場所を知りたかったのかの予想を立ててみましょうかね。

ある特定の個人(あるいは団体)の居場所を求めるならそのスキルを求めると言ってもいいでしょうね。となると、魔道具を発明した彼女が作るその技術、あるいは製品が必要なはず。なぜそれが必要なのでしょうか?「戦争」とかがありそうかなぁと思いましたが、この王なら難攻不落のダンジョンの攻略をするよりも軍備を揃えたり外交的手段でなんとかしそう。となると彼女の魔道具じゃないと同しようもないレベルの「災害」が予言されているとかそういう感じでしょうか?ただ、今までの描画の中で「予言」とか「占い」とかに関する魔法がなかったのも気になります。魔法が「その結果をイメージする」ことで得られるパワーなら結果を得るために行う「予言」や「占い」は魔法としては利用しにくいはず・・・。

あれ?となるとこの世界の天気予報とかってどうなってるんだろう。風が吹くのなら「気圧」という状態があるっていうことだろうし、農作物があるのなら降った日、腫れた日があるはず。四季についても第1巻の時点で存在が明かされています。

となると、異世界の技術や魔法で観測可能な範囲でいろいろな予想を立てているということですかね?夕日がきれいな日の次の日は天気が悪いとかそういう。そういうのを根拠に国が滅びるレベルの天変地異を予測し、さらにそれを防ぐにはアッドクライムの技術が必要と。うーん、まあまあの線な気がします。

あとは、アッドクライムは国賊でとんでもないことをやらかした逃亡の身。捕らえる必要があるとか?まあ、それだとオオヤマコウセンのメンバーがアッドクライムを探している時点で逮捕とかされそうですね。

考えてもキリがないですし、そして現時点で描画されていない異世界の技術や文化のレベルも気になってきました。ぜひとも設定資料集の発行をお願いしたいですね!!

そんなわけで第4巻以降もかなり期待が膨らんできました!!

藍月先生と設定談義とかもしたいですねw