先日、新宿で開催された「放課後のプレアデス 一挙上映」を鑑賞してきました。放課後のプレアデスは放送時からチェックをしていて、バンダイチャンネルで毎週試聴をしていました。
GAINAXらしい「トップをねらえ!」を思わせるSF的設定や、平和だった頃の「魔法少女まどか☆マギカ」のような魔法少女設定など、ギミックが多く盛り込まれ楽しめるアニメでした。
さて、今回は「放課後のプレアデス」の中から特に大好きな第8話「ななこ13(サーティーン)」の話をします。
あらすじを公式サイトより引用します。
地球から0.25光年先の太陽系最外縁部に出現したカケラ。その場所は光の速さで3ヶ月もかかる上に、誰か一人が先行してその位置を特定する必要があるという。その一人旅に志願したのは、ななこだった。光速に近い速さで飛行をすることになったななこの主観では半日程度の旅だが、深遠の宇宙にただ一人という状況に、ななこは自分の家族のことに思いを巡らせる。
地球から遠く離れた場所へ亜光速で旅に出る物語。光速に近い速度で運動する者とそうでない者。違う時間を過ごす者達の物語。
聡明な皆様ならお気づきでしょうが、トップをねらえ!第2話「不敵! 天才少女の挑戦!!」や第5話「お願い!! 愛に時間を!」を思い出させる物語です。
実際、パロディと思われる演出もあって例えばななこが利用していた地球時間とななこの時間を表示する時計のデザインが、トップをねらえ!で利用されていたそれと同じデザインでした。
ななこの時間では半日だけれど、すばる達の時間では3ヶ月。そして、彼女達が再会をするためには、ななこが「心から」彼女達に呼びかける必要がある・・・。少し不思議な雰囲気を持った彼女の、ちょっといつもとは違う一面とそして過去を垣間見る物語でした。
たまらなくこの話が好きです
通算で3,4回は見たと思います。なぜだろうか・・・。トップをねらえ!を思わせる展開に、トップファンとして胸が高なったのかとも思いましたが3回目あたりから気がついたことがあって、多分自分はこの話が本質的に好きなんだと思います。
放課後のプレアデスに登場するメンバーの中でも不思議ちゃん担当のななこ。そして、彼女には誰にも語らないけれど、少し重たい過去と複雑な家族関係があったのでした。
30分アニメの1話という、決して長くない時間を存分に利用して深い要素を詰め込んだこの物語が、そして物語の軸となるななこがたまらなく愛おしいのです。
大人に、あるいはこの世界に失望をした少女が起こす奇跡
ななこの母親と弟は、ななこが幼いころに弟を連れて世界を放浪する旅に出てしまっていました。この別れの時、ななこを一緒に行こうと誘いますが、両親は「後から来るから」と『嘘』をつきます。
彼女にはこれが嘘だと分かっていた。弟や母親と二度と会うことができないと、彼女はそう思ってしまった。それ以来、ななこは自分は1人ぼっちなのだと、そう思い込むようになってしまいます。
中学に入りプレアデス星人によってメンバーが集められて、コスプレ研究会として活動することも「誰かといることに慣れてしまった」と自分は1人ぼっちなのだと強く思い込んでいました。
そして彼女は誰にも見つけられていなかった惑星と出会い、「欺瞞と失望の女神 アパテ」と名づけます。
ですが、彼女にとって変化はすでに起こっていました。亜光速の世界でスターボウを見たとき、そしてアパテを発見した時、すばるとそして皆とこの感動を共有したい思いが溢れます。
誰かと一緒だった記憶は消えない、自分はずっと1人だと思っていたけどそんなことは無かった。そんな彼女の心を写すかのように、新惑星アパテはエンジンのかけらによって恒星へ生まれ変わります。
太陽系は恒星が2つある二重連星へと姿を変えるのです。
ななこはすばる達と、そして彼女たちとの出会いをくれたプレアデス星人と再会をして心が「ぽ・わ~む」しました。心が温かい気持ちになったということ。
そして彼女は思い出します。プレアデス星人は自分と弟を繋いでくれていると。「いつかお姉ちゃんといっしょに宇宙人に会います」と、幼い思いを語り合った2人を繋いでくれる存在だったと。
このときの強い思いが、物語に最後の奇跡を起こします。
もう一度彼女は希望を取り戻す
(おそらく)ななこの抱いた強い思いは、彼女達を3ヶ月前へつまり、ななこが出発した日へと戻します。強い思いは奇跡を起こす、優しい世界だ。
なぜ彼女は戻りたいと強く願ったのか。それは、ななこが出発したその日は実は彼女の誕生日だったから。伏線は序盤で打たれていました。
出発前、ななこの父は彼女に「明日は何が食べたい?なんでも好きなものを言っていいんだぞ」と言います。また、ななこが出発した後も「昨日の、青で良かったよなぁ?」と彼女に渡した誕生日プレゼントの感想を(プレアデス星人が変装した)ななこへ尋ねます。
ななこが思っている以上に、彼女のことを思っている人は彼女の周りにいたのだという事。ちょっと忘れがちだけど、大切なことですね。
そして、ラストシーンは彼女の寝室。テーブルに置かれた3つのプレゼントに彼女は微笑みます。父親からのプレゼント、弟からの手紙、そしてプレアデス星人が書いてくれた手紙。
弟からの手紙には「らいねん日本へ行くよ」とありました。また、父からのプレゼントは万年筆とレターセット。
序盤からの伏線の一つ「ななこの部屋に飾られた弟からの手紙」が回収されました。父は彼女に手紙を出して欲しかったんですね。
彼女は弟と二度と会えないわけじゃない。そういう風に思い込んでいた。それだけだったんです。
思い込みで人は簡単に希望を失ってしまいます。
ともかく、ななこがもう一度希望を抱くことができて良かった、良かったと。そういうお話でした。
過去に戻ること
やっぱりトップをねらえ!を思い出してしまうわけですが。第2話ではユングの誕生日を逃してしまったノリコ達もあるいは魔法のような力があればなんとななったのかなぁと思うわけですよ、はい。