過去作品の「続編」でも「リブート」でもない、新たなターミネーター・サーガとしての第1作らしい。とは言え、過去4作の流れを確実に踏んでおり、思い出す部分は多いので楽しめる。
運命を切り開くために、何者かに運命を委ねること
ターミネーター、ターミネーター2、ターミネーター3では「未来から来た存在(カイル・リース、T-800,T-850)によって未来を知らされた主人公(サラ・コナー、ジョン・コナー)が、運命を変えるために未来から来た存在に未来を委ねる」といった物語の図式であると言えた。
しかし、本作のラストは「未来は不定、未知である」と結論付けていた。当たり前のことであるが、ターミネーターシリーズではあまり描かれていない結末だった様に思える。
特に、今作のサラ・コナーは9歳の時にT-800と出会い、そして運命を決定づけられていた。初めて彼女が運命から自由になり、自らの生きる未来を選択できるようになった、その描写には感動を抱く。
サラ・コナーの葛藤あるいは運命を受け入れること
劇中、サラ・コナーはカイルのことを「リース」とFamily Nameで呼ぶ(字幕はカイルだけど)。これは非常に重要な演出だと思う。彼女は未来から来たカイルに自分と結ばれること、その結果生まれるのがジョン・コナーであること、そしてカイルが死んでしまうことを伝えなかった。
それは「自分の運命に携わった人間は皆死んでしまう」と考えているから。自分の両親、カイル、審判の日や来るべき機械に支配された未来の人々。
彼女は未来を救うため、ジョン・コナーを誕生させる必要があることを分かっているがそれを受け入れることをどこかで拒んでいた。そのため、カイルを名前ではなく「リース」と呼んで距離を取っていたのではないだろうか・・・。
新たなターミネーター・サーガ
3部作らしいね。結局T-800を送ってきたのは誰だったのか、スカイネットはどうなったのか、ジョン・コナーは・・・。謎を良い感じに残したまま次回作へと繋がっていくのだ。