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@numa08 猫耳帽子の女の子

明日目が覚めたら俺達の業界が夢のような世界になっているとイイナ。

アルジャーノンに花束を を読んだよ

読んでおいたほうが良いSF作品の一つとしてタイトルは知っていたけれど、未読だった本の一つ。映画版のタイトル「まごころを君に」は多分劇場版エヴァの元ネタだと思う。

32歳で幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイは、ある日、ネズミのアルジャーノンと同じ画期的な脳外科手術を受ければ頭がよくなると告げられる。手術を受けたチャーリイは、超天才に変貌していくが……人生のさまざまな問題と喜怒哀楽を繊細に描き、全世界が涙した現代の聖書。

知識だけが人を幸せにはしないのではないか、そんな仮説に基づき本編は進行していきます。

序盤、手術を受ける前のチャーリーはパン屋で働いていますが、同じ職場の同僚はよき仲間で、良き友達でした。しかし、手術を受け徐々に知能が上がり、できる仕事が増えてくるチャーリーに対し、同僚たちは恐れ、彼を退職に追い込みます。

この物語の面白いところは、チャーリーの経過報告書(日記)形式で進行するところ。チャーリー視点でのみ語られ、客観的な情報はほぼありません。

そのため、例えば同僚で仲が良いと思っていたパン屋の人々も、よく読んでみると彼らの言動はチャーリーをからかったり、バカにしている物に見えます。しかし、それでも当時のチャーリーは幸せだったのです(そして、我々は幸せとは何だったかについてまた考えてしまう)。

知能のあがったチャーリーはその過程で知能、知識、知恵に加えていくつかの物を手に入れます。同じ手術を受けたネズミのアルジャーノンへの友情、彼を人として接してくれたアリス・キニアンとのロマンス、手術の責任者で学会での出世を狙うニーマー教授との確執など。

結局のところ、手術は不完全でチャーリーは元の知能レベルよりも悪い状態に戻ってしまいます。

それでもチャーリーは、アルジャーノンに対する友情だけは最後まで持ち続けました。

知能は幸せを満たすものでは無いという考え

ただ知能があるだけではだめで、幸せを得るには道徳的、情緒的な物が無ければ人は幸せにはなれない。初出は1959年。東西冷戦の真ん中。ハイラインの「夏への扉」が57年で、戦後の好景気の時代、科学技術こそが人を幸せにすると考えられていた時代だったのかもしれません。

さて、チャーリーは手術によって上がった知能レベルにより、友情や愛情の一片に触れ、そして最後までその一部を残すことができました。

知能だけでは、知識だけでは幸せにはなれないでしょう。しかし、それは愛情や友情を得るための道具にもなり得るようです。自分の持つ知識に甘えることなく、謙虚にしかし前に進むことだけはやめない生き方をしていきたいものです。

ところで

昨年あたりドラマ化されたらしいですね。その影響か、 kindle で販売されたのかな?まぁ、ドラマの方は見なくてもよさ気な雰囲気を感じ取ったのでスルーします。